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記憶


☆その方は、送迎車を降りるとふくよかな体を歩行器にあずけ

ひと足ひと足ゆっくり運ばれていました。

入り口で必ず一礼をされ、中に入られる

アスリートの儀式のような… 神々しさがありました。

口数少ない彼女の語りは奥深いものでした。

☆トランプのババ抜きであの方は、

「まん中とれば如才ない」と言って、いつもまん中を取られていました。

なるほど…と、今も耳に残っています。

彼女の人柄が忍ばれました。

☆ある日、「今度生まれてくる時は、女がいいですか、男がいいですか」と一人一人にたずねました。

女性の方は“女”と、男性の方は“男”と答えられた中で、

彼女は「男がいい」と… なぜ男がいいんですか

「こんなに長生きしたくない」と、思いがけない言葉でした。

いつも凛とされている、その方の心のうちを知りました。

人生の大先輩 ありがとうございました。

相談員 じゅんこ

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